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青色申告のすべて ― 65万円控除の要件と申告手続き

📚 解説 | 公開日: | 最終更新:

青色申告とは

「青色申告」は、所得税法に基づき、複式簿記等の帳簿記録を要件に、税制上の各種優遇を受けられる申告方法です。事業所得・不動産所得・山林所得のある方が対象です。

青色申告の主なメリット

  1. 青色申告特別控除: 最大65万円(電子帳簿保存またはe-Tax申告の場合)を事業所得から控除
  2. 青色事業専従者給与の適用: 生計を一にする親族(配偶者や15歳以上の子孫等)に支払う給与を全額必要経費にできる
  3. 純損失の繰越控除: 事業で生じた純損失(赤字)を最長3年間(令和2年分以降は最長10年間)繰越控除できる
  4. 貸倒引当金: 売掛金等の貸倒れに備え、引当金を経費に計上できる
  5. 少額減価償却資産の特例: 30万円未満の減価償却資産を取得時に全額費用処理できる

65万円控除の要件

青色申告特別控除の金額は、申告方法・帳簿の種類に応じて異なります。

区分控除額要件
電子帳簿保存またはe-Tax申告65万円複式簿記での記帳 + 電子帳簿保存 または e-Taxでの申告
上記以外の複式簿記55万円複式簿記での記帳 + 貸借対照表の添付
簡易簿記(単式簿記)10万円簡易簿記での記帳

青色申告の承認申請

青色申告を行うには、事業開始日から2ヶ月以内に所轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。期限を過ぎると、その年は青色申告ができず、翌年からとなります。

白色申告との比較

白色申告: 単式簿記(簡易帳簿)で記録、青色申告特別控除なし、青色事業専従者給与の適用なし、繰越欠損金なし、貸倒引当金なし。青色申告の優遇措置は受けられないため、所得税・住民税の負担が重くなります。

申告期限

所得税の確定申告期限は毎年3月15日まで。青色申告の場合でも、申告期限を過ぎると各種優遇が受けられなくなるため、期限内の申告が重要です。

複式簿記の記帳方法

複式簿記は、借方・貸方の2面記録で取引を記録する方法で、青色申告の要件です。会計ソフト(弥生会計・freee・マネーフォワード クラウド 等)を利用すると、複式簿記の知識がなくても自動で複式簿記の帳簿が作成できます。

よくある質問

Q. 個人事業主でも青色申告はできますか?

A. はい、できます。事業所得・不動産所得・山林所得のある居住者であれば、誰でも青色申告の承認申請ができます。

Q. 開業届と青色申告承認申請は同時に提出できますか?

A. はい、同時に提出できます。多くの場合、開業届と一緒に青色申告承認申請書も提出します。

Q. 青色申告から白色申告に変更できますか?

A. できます。「青色申告の取りやめ届出書」を税務署に提出することで、白色申告に変更できます。

青色申告の申告期限と提出方法

所得税の確定申告は、毎年2月16日から3月15日までの1ヶ月間が申告期間です(3月15日が土日祝日にあたる場合はその翌日)。青色申告の場合でも、申告期限内に確定申告書を提出する必要があります。

提出方法は、以下の通りです。

  • e-Tax(電子申告): 国税庁の電子申告・納税システム。電子申告の場合は青色申告特別控除が10万円上乗せ(最大65万円)される
  • 紙で提出: 税務署の窓口に持参、または郵送で提出

青色申告者の会計帳簿の保存義務

青色申告者には、会計帳簿の保存義務があります。保存する帳簿・書類は以下の通りです。

  • 仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳
  • 現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳 等
  • 棚卸表
  • 貸借対照表・損益計算書 等
  • 請求書・領収書・契約書・納品書 等(法定保存期間: 5年〜10年)

これらの帳簿書類は、青色申告の承認を取り消された後でも、保存期間内は保存する義務があります。

電子帳簿保存法との関係

青色申告者が、電子帳簿保存法に基づいて会計帳簿を電子データで保存する場合、以下の要件を満たすと青色申告特別控除が65万円に引き上げられます。

  • 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の承認申請を所轄の税務署長に提出し、承認を受けていること
  • 仕訳帳・総勘定元帳について、一定の要件(訂正削除の履歴の確保、帳簿間の相互関連性の確保 等)を整えて保存していること

電子帳簿保存は、会計ソフト(弥生会計・freee・マネーフォワード クラウド 等)を利用することで、比較的容易に導入できます。

青色事業専従者給与

青色事業専従者給与は、生計を一にする配偶者や15歳以上の親族に支払う給与を全額必要経費にできる制度です。適用には、以下の要件があります。

  • 青色申告の承認を受けていること
  • 青色事業専従者給与に関する届出書を所轄の税務署に提出していること(変更届の提出時期: 給与の支払い時期)
  • 青色事業専従者給与として支払う給与の額が、労務の対価として相当であること(不相当に高額な場合は損金不算入)
  • 青色事業専従者がもっぱら事業に従事していること

青色申告の取消し

青色申告の承認を受けた後、以下の事由に該当すると、青色申告の承認が取り消されることがあります。

  • 帳簿の備付け・記録・保存に関する規定に違反があった場合
  • 確定申告書の提出が遅れた場合(期限内申告要件)
  • 青色申告の取りやめ届出書を提出した場合

青色申告の取消しは、取消しの基因となった事業年度について効力を生じます。

青色申告と消費税

青色申告は所得税の制度ですが、消費税の申告にも影響します。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の免税事業者となります。

また、簡易課税制度の選択は、消費税の課税期間開始の日の前日までに、消費税簡易課税制度選択届出書を税務署に提出することで適用できます(2年間の継続適用義務あり)。

白色申告者の記帳義務

白色申告者にも、2014年1月以降、記帳・帳簿保存の義務が課されています(事業所得・不動産所得・山林所得のある方で、白色申告者・青色申告者を問わず)。

ただし、白色申告者の記帳内容は、単式簿記(簡易帳簿)で足り、青色申告のような複式簿記の義務はありません。

執筆: sanbonko(行政情報部)

2015年頃から日本の行政処分データや公的制度情報を継続的に収集・分析。14省庁・機関の5,362件の行政処分データセットを運営し、規制動向の調査・分析レポートを公開しています。

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