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源泉徴収の計算と納付 ― 給与・報酬の税率と手続き

📚 解説 | 公開日: | 最終更新:

源泉徴収とは

「源泉徴収」は、所得税法に基づき、給与・報酬・利子・配当等の支払者が、その支払いの際に所得税を天引きし、税務署に納付する制度です。

源泉徴収が必要な所得

  • 給与所得(サラリーマンの給料)
  • 報酬・料金等(税理士・弁護士・講演・原稿料 等)
  • 利子所得(預貯金・公社債の利子)
  • 配当所得(株式・出資の配当)
  • 退職所得
  • 不動産所得(大家が賃借人に支払う礼金 等)

給与所得の源泉徴収(主な計算方法)

給与所得の源泉徴収税額は、「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて計算します。税額表には「月額表」と「賞与」の2種類があります。

月額表(毎月給与)

給与支給額から給与所得控除を引いて「社会保険料等控除後の給与等の金額」を求め、税額表から該当する所得税額を求めます。

賞与

賞与から社会保険料を控除した額に、前月の給与の「社会保険料等控除後の給与等の金額」を加味した税額表から税額を求めます。

報酬・料金等の源泉徴収(主なもの)

報酬・料金の種類源泉徴収税率
原稿料・講演料・コンサルティング料 等10.21%(所得税+復興特別所得税)
弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・行政書士 等10.21%
プロスポーツ選手・プロ野球選手 等10.21%
芸能・モデル・映画・テレビ出演 等10.21%
ホステス・ホスト等の接待飲食業に係る給与20.42%(ただし、1回の支給額が25,000円以下の場合、計算方法異なる)

復興特別所得税(0.21%)は、2037年12月31日までの時限措置です。

納期の特例

給与を支払う際に源泉徴収した所得税は、原則翌月10日までに納付する必要があります。ただし、「納期の特例」の承認を受けた事業所(常時雇用する従業員が10人未満)は、半年分(1〜6月分・7〜12月分)をまとめて7月10日・1月20日までに納付できます。

納付手続き

源泉徴収した所得税は、e-Taxでの電子納付、または金融機関(銀行・郵便局)の窓口で納付書により納付します。e-Taxを利用すると、税務署に出向く必要がなくなり、利便性が高いです。

年末調整

給与所得の源泉徴収は、毎月の概算額であり、年末にその年の給与総額に対する正しい所得税額との差額を清算する「年末調整」を行います(毎年12月)。年末調整は、給与の支払者である事業主が行います。

よくある質問

Q. 個人事業主が従業員を雇った場合はどうなりますか?

A. 個人事業主が従業員を雇い給与を支払う場合、源泉徴収義務が生じます(給与支払事務所等の開設届出書の提出、給与支払いの際に所得税を源泉徴収、翌月10日までに納付)。

Q. 個人間の支払いで源泉徴収が必要なケースは?

A. 報酬・料金等(弁護士・税理士・講演・原稿料 等)については、支払者が個人であっても、源泉徴収義務があります。

Q. ミスして源泉徴収税額を多く徴収してしまった場合は?

A. 年末調整で精算されます。年の中途で退職する場合等は、本人の請求に基づき、過徴収分を還付します。

報酬・料金等の源泉徴収の対象範囲

「報酬・料金等」のうち、源泉徴収の対象となるのは、所得税法第204条第1項各号に規定された以下の所得です。

  • 原稿料・挿絵料・写真料・作曲料・レコード・CDの吹き込み・録画料・講演料 等
  • 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・行政書士 等への報酬
  • 社会保険労務士・弁理士・土地家屋調査士・不動産鑑定士 等への報酬
  • コンサルタント・投資助言・翻訳・通訳・通訳案内・技術指導 等への報酬
  • プロスポーツ選手・プロ野球選手・競馬の騎手 等への報酬
  • 映画・演劇・音楽・舞踊・その他の芸能・モデルの出演料 等
  • 野球・サッカー・テニス等のスポーツの選手・審判 等への報酬
  • ホステス・ホスト等への接待飲食業に係る給与(20.42%)
  • バー・キャバレー等の社交業に係る給与(20.42%)

復興特別所得税

2013年(平成25年)から、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が2037年12月31日までの時限措置として課税されています。源泉徴収の際は、この復興特別所得税を含めた税率で徴収します。

所得の種類所得税率復興特別所得税合計税率
原稿料・講演料 等(10%対象)10%0.21%10.21%
ホステス等の給与(20%対象)20%0.42%20.42%

納期の特例(年2回納付)

給与の支給人員が常時10人未満である事業者は、所轄の税務署長の承認を受けることで、半年分(1〜6月分・7〜12月分)をまとめて7月10日・1月20日までに納付できます(「納期の特例」)。

納期の特例の申請は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署に提出します。

給与支払報告書の提出

給与を支払う事業所は、「給与支払報告書」を毎年1月31日までに給与受給者の居住地の市区町村に提出する義務があります(給与所得の源泉徴収票とは別の書面)。

給与支払報告書は、市区町村が個人住民税の課税のために使用する重要な書類です。提出を怠ると、給与受給者の住民税に誤りが生じる可能性があります。

給与所得の源泉徴収票

給与を支払う事業所は、給与受給者に対して「給与所得の源泉徴収票」を交付し、所轄の税務署にも提出する義務があります(提出期限: 翌年1月31日)。

給与所得の源泉徴収票は、給与受給者が確定申告・年末調整のために使用する重要な書類です。

電子申告(e-Tax)

源泉徴収の納付や給与支払報告書の提出は、e-Tax(電子申告・納税システム)を利用することで、自宅やオフィスから簡単に行えます。

  • 源泉所得税の法定調書合計表のe-Tax提出
  • 給与所得の源泉徴収票のe-Tax提出
  • 給与支払報告書のeLTAX(地方税ポータルシステム)での電子提出

電子申告の場合、一部の税額控除(例: 中小企業経営強化税制 等)や事務負担の軽減のメリットがあります。

よくある質問

Q. 個人事業主が従業員を雇うときの手続きは?

A. 個人事業主が従業員を雇う場合、以下の手続きが必要です。

  1. 「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出(開業後遅滞なく)
  2. 給与から所得税を源泉徴収(給与支払いの都度)
  3. 源泉徴収した所得税を所轄の税務署に納付(原則 翌月10日まで)
  4. 給与支払報告書を市区町村に提出(翌年1月31日まで)
  5. 給与所得の源泉徴収票を作成し、税務署・受給者に交付(翌年1月31日まで)
  6. 年末調整(12月)

Q. 個人間の報酬でも源泉徴収は必要?

A. 弁護士・税理士・講演・原稿料等は、支払者が個人であっても源泉徴収義務があります。一方、雇用契約に基づく給与については、支払者が個人であっても源泉徴収が必要です。

Q. 事業所得と給与所得を兼業している場合は?

A. 事業所得の確定申告と、給与の年末調整を両方行う必要があります。事業所得の確定申告で、給与所得を含めて所得税の計算を行います。

執筆: sanbonko(行政情報部)

2015年頃から日本の行政処分データや公的制度情報を継続的に収集・分析。14省庁・機関の5,362件の行政処分データセットを運営し、規制動向の調査・分析レポートを公開しています。

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