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個人事業主の開業届 ― 書き方・提出先・提出時期のすべて

📚 解説 | 公開日: | 最終更新:

開業届とは

「個人事業の開業・廃業等届出書」は、所得税法に基づき、新たに事業を開始した場合に事業所得のある居住者が税務署に提出する書類です。提出することで、申告・納税の各種手続きの基礎となります。

提出の義務

開業届の提出は義務ではないですが、提出しないと以下を受けることができません。

  • 青色申告特別控除(最大65万円)
  • 青色事業専従者給与の適用
  • 青色申告の繰越欠損金の適用
  • その他、税制上の各種優遇

事業を行う方は、提出しない理由がない限り、開業届を提出し、かつ青色申告の承認申請を行うことをおすすめします。

提出時期

事業開始日から1ヶ月以内に提出することが推奨されています(期限を過ぎても受理されます)。

提出先

事業所の所在地を管轄する税務署。個人事業主の住所地ではなく、実際に事業を行っている場所を管轄する税務署に提出します。

必要書類

  • 個人事業の開業・廃業等届出書(所定の様式)
  • 青色申告承認申請書(青色申告を希望する場合)
  • 事業用の住所を証明する書類(賃貸借契約書 等)
  • 所得の種類により必要な届出(青色事業専従者給与に関する届出書 等)
  • マイナンバーが確認できる書類(マイナンバー記載には要注意)

書き方のポイント

  1. 「職業欄」には具体的な事業内容を記載(例: 「Webデザイナー」「飲食業」「古物販売業」 等)
  2. 「事業概要」は簡潔に事業の目的・内容を記載
  3. 「事業所所在地」は実際に事業を営む場所を記載(自宅の場合は住所)
  4. 「所得の種類」は「事業所得」と記載(不動産所得・山林所得 等は別)
  5. 「開業日」は実際に事業を開始した日(開業準備期間ではなく)

e-Taxでの提出

国税庁のe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すれば、開業届・青色申告承認申請書を電子提出できます。電子申告の場合は青色申告特別控除が10万円上乗せ(最大65万円)されるメリットがあります。

開業届提出後に必要な手続き

  • 青色申告の承認申請(青色申告を希望する場合)
  • 個人事業税の開業届出書(都道府県税事務所に提出)
  • 個人事業税の事業開始等の届出(一部の事業のみ)
  • 従業員を雇用する場合: 給与支払事務所等の開設届出書、勞災保険・雇用保険の加入
  • 許認可が必要な業種の場合: 営業許可の申請

開業届の提出を怠るとどうなる?

開業届の提出は法律上の義務ではないため、提出しなくても罰則はありません。しかし、開業届を提出しないと、以下のような税制上のメリットを受けられなくなります

  • 青色申告特別控除(最大65万円)
  • 青色事業専従者給与の適用(配偶者や子への給与を経費化)
  • 純損失の繰越控除(赤字の繰越)
  • 小規模企業共済・経営セーフティ共済の加入(個人事業主向け)
  • 小規模事業者持続化補助金等の申請資格の一部

事業を行う方は、提出しない理由がない限り、開業届を提出し、併せて青色申告の承認申請を行うことをおすすめします。

開業届と開業日の決め方

開業届の「開業日」は、実際に事業を開始した日を記載します。事業用の口座を開設した日・最初の売上を計上した日・事務所を借りた日 等ではなく、事業の開始準備が整い、対外的に事業を開始した日が該当します。

例えば、Webデザイナーの場合:

  • 開業届の「開業日」: ポートフォリオを公開し、案件の募集を始めた日 等
  • 事業を営むための事前準備(PC購入・スキル習得 等) は含めない

開業届の「所得の種類」

開業届の「所得の種類」は、事業の特性に応じて以下のように記載します。

事業の例所得の種類
個人で営む通常の事業(飲食業・小売業・IT業 等)事業所得
不動産の賃貸業不動産所得
山林の伐採・譲渡山林所得
農業事業所得(または山林所得)
FX・株式の取引(事業として行う場合)事業所得(または雑所得)
YouTube での広告収入 等事業所得(または雑所得)

事業所得と雑所得の違い

Web系フリーランス・YouTube等の動画投稿で収入を得る場合、事業所得か雑所得かが問題になります。

  • 事業所得: 独立・継続的・反復的に行われる事業から生じる所得。帳簿を付けて青色申告が可能。
  • 雑所得: 上記の事業所得・不動産所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のいずれにも該当しない所得。青色申告の特別控除は受けられない。

副業でWeb系収入を得ている場合、所得金額が少なければ雑所得でも問題ありませんが、事業として本格的に営む場合は事業所得で申告する方が税制上有利です。

開業届の提出と関連手続きのタイミング

開業届は、事業開始日から1ヶ月以内に提出することが推奨されています。提出が遅れても受理されますが、青色申告の承認申請は事業開始日から2ヶ月以内という期限があるため、開業届・青色申告承認申請をセットで早めに提出することをおすすめします。

提出後の変更手続き

開業届の提出後に、以下の事項に変更があった場合は、変更手続きを行います。

  • 事業所の所在地を変更(移転)した
  • 事業内容を変更した(新たな事業を開始 等)
  • 事業主の氏名・住所を変更した
  • 事業を廃止・変更した → 個人事業の「開業・廃業等届出書」に廃業日を記載して再提出

また、廃業した場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出する義務があります。

よくある質問

Q. 開業届を提出したら、絶対に確定申告をしなければなりませんか?

A. はい。事業所得のある方は、所得税の確定申告が必要です(青色申告・白色申告のいずれかで)。所得が給与所得のみの方等で、副業収入が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要な場合があるため、詳しくは税務署・市区町村にお問い合わせください。

Q. 開業届を提出しない場合、どんなデメリットがありますか?

A. 青色申告特別控除(最大65万円)・青色事業専従者給与の適用・赤字の繰越控除 等が受けられず、所得税・住民税の負担が重くなります。また、小規模企業共済・経営セーフティ共済・各種補助金の加入・申請にも支障が出る可能性があります。

執筆: sanbonko(行政情報部)

2015年頃から日本の行政処分データや公的制度情報を継続的に収集・分析。14省庁・機関の5,362件の行政処分データセットを運営し、規制動向の調査・分析レポートを公開しています。

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